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福島市除染マニュアル(第1版)

このマニュアルは、福島市で実施しました除染の検証結果に基づき、個人
住宅、集合住宅、共通の生活空間である生活路及び子供たちの通学路におけ
る放射性物質の除染活動のポイントをマニュアルとしてまとめたものです。
なお、本マニュアルは、今後開発される新たな除染手法等を積極的に取り
入れ、適宜改正してまいります。

除染マニュアルの共通的事項

○ 除染活動の主体
市内の除染は、福島市が主体となって全力で取り組みます。
しかし、市内の除染対象の面積は広大であり、行政だけで全てを行うには相当の
期間を要することが予想されます。
このため、市民の生活空間の除染を早急に行うためには、個人住宅、集合住宅、
共通の生活空間である生活路及び子供達の通学路の除染は、そこに生活する各世帯
さらにその町内会が協働して行うことが重要であり、ご協力をお願いします。

○ 町内会等で除染活動する場合の行政による支援
① 市民の皆さんと連携して放射線量を測定しますとともに、放射線量測定器及び
高圧洗浄機を貸与します。 ただし貸与数は限定されます。
② 除染の相談窓口を設けるほか、ご要望により、除染講習会の開催や除染アドバ
イザーの派遣を行います。
③ 民間宅地等でも線量が高いなど緊急性がある場合は、市が除染を行います。
④ 公的施設・道路等は、原則として市・県・国が除染を行います。
⑤ 関係団体と協力して、ボランティアの募集と派遣支援を行います。
⑥ 支所等を通じて地域の除染計画の策定や協働で行う除染の推進を支援します。
⑦ 地域内の除去土壌等の仮置き場を管理するとともに、国・県と連携し責任を持
って最終処分場等への搬出を行います。この際、市民に除去土壌等の仮置き場所
や数量などについて報告をお願いし、台帳に記入します。
⑧ 個人・事業所・団体が行う除染活動の経費について、東京電力への損害賠償の
対象となるよう国に強く働きかけ、損害賠償手続きの支援を行います。

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○ 除去土壌等の処理
除染により発生しました放射性物質を含む表土・土砂は、国が指定する最終処分
場が決定するまでの間、仮置きすることになります。
また、仮置きした除去土壌等は、国が設置する最終処分場等が稼動した時点で、
市が責任を持って早急に搬出します。
① 住宅の除染により発生しました土砂等は、原則としてその敷地内に埋設し仮置
き保管をお願いします。
② 生活路等から発生した土砂等は、原則として市が地域の理解と協力のもと、方
部ごとに市内数箇所に仮置き場を確保し、保管します。

○ 県配布の「手引き」の活用
共通事項であります、サーベイメータの使用法及び作業終了後の措置などは、県
で配布しました「生活空間における放射線量低減化対策に係わる手引き」を参考に
してください。

○ 服装や個人装備
以下の装備を参考にして、作業内容や天候等の状況により判断します。通常の場合、
重装備は必要ありません。
土ぼこりがたつ所では作業前に水まきをし、マスクをする等、状況により対応しま
す。

基本装備 水を扱う作業

・動きやすく通気性 ・カッパ
の良い服装 (高圧水洗浄作業は上下
(長袖、長ズボン) その他は下だけでも可)
・長 靴 ・ゴーグル(めがね)
・布手袋(軍手等) *特に汗をかきやすいの
・ゴム手袋 で、こまめな休憩や、水
(作業環境により、 分の補給が必要です。
服の上に腕カバ
ーや足カバーを
高所での作業
着用するとよい)
・帽 子 ・ヘルメット
・マスク ・安全帯
・タオル ・脚立・はしご等

「生活空間における放射線量低減化対策に係わる手引き」(福島県発行)から抜粋

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住 宅 編

除染順序

除染順序は、各住宅の形状等により異なりますが、除染前後の放射線量の測定をする
とともに、上(屋根)から下(庭・側溝)に洗浄することになります。
以下は、福島市で実施しました除染の検証に基づく一般住宅の除染順序の一例です。
なお、一例は、比較的放射線量が高い住宅の全部を除染するものであり、放射線量が
低い場合及び住宅の形状等により、雨どい、雨水枡等雨水が集まる所、苔むした所等、
放射線量が高い所だけに焦点を絞り除染することも効果があります。
① 除染前モニタリング
② ほこり飛散防止のための散水
③ 屋根、雨どい、外壁、庭石等の洗浄
④ 表土埋設のための穴の掘削
⑤ 草むしり、植木の剪定、落ち葉の収集
⑥ 庭等の表土すき取り(約1㎝)
⑦ 雨水枡、側溝、駐車場、塀等の洗浄
⑧ 表土の埋設
⑨ 除染後モニタリング

具体的除染要領
①⑨除染前・後モニタリング
住宅の除染前に放射線量の測定を行い、線量の高い地点を把握し、除染の重点を確認す
るとともに、除染後の測定によりその成果を確認します。

屋根、雨どい、庭先、裏庭、室内等の生活空間をくまなく測定します。

② ほこり飛散防止のための散水
放射性物質を含んだほこり、ちり等の飛散防止のため作業前に散水を行います。

屋根の散水は、転落の危険があるため作業する人と打ち合わせをして散水してくださ
い。

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③ 屋根、雨どい、外壁、庭石等の洗浄
高圧洗浄機、デッキブラシ等により屋根、雨どい、外壁等を洗浄します。

雨どいやトタンの錆びた部分にセシウムの吸着が疑われる場合は、オレンジクリー
ナー等の洗浄剤やクレンザー等の研磨剤を用いると多少効果が上がります。なお、
屋根、雨どいの洗浄は、危険を伴うため業者等に依頼してください。

④ 表土埋設のための穴の掘削
放射性物質を含んだ庭の表土等は、原則として、同一敷地内に埋設することとなりま
すので、深さ約1m、縦・横約1mを掘って準備します。

放射性物質を含む可能性のある表土を約1cm 程度すき取り、後で埋設するために麻
袋等に入れておきます。また、表土より下から堀り上げた土は、後で庭に敷きます
のでシート等の上に集積します。

⑤ 草むしり、植木の剪定、落ち葉の収集
庭の草むしり、植木の剪定等を行います。このとき、草の根についた土は、麻袋に入
れ表土と一緒に埋めます。

草、剪定した葉等は、ゴミ袋に入れ可燃ごみとして処置します。

⑥ 庭等の表土すき取り(約1㎝)
放射性物質を含む可能性のある表土を約1cm 程度すき取ります。このとき、雨どいの
雨水が表土に直接流れている所及び湿気の多い苔むした所の放射線量が高いことが多い
ので十分にすき取ります。

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すき取った表土は、後で埋めるために麻袋等に入れておきます。
⑦ 雨水枡、側溝、駐車場、塀等の洗浄
高圧洗浄機、デッキブラシ等により雨水枡、側溝、駐車場、塀等を洗浄します。

雨水枡、側溝の土砂は麻袋に入れ、表土と一緒に埋設します。

⑧ 表土の埋設
準備した穴に遮水マット、シート等を敷き、除去した土砂等を入れた麻袋を放射線
量の高い袋を下にして穴に入れ、さらにシート等で上を覆い、約30~50㎝の土を
被せて埋め戻します。この際、プラスチックケース等を使用すると後日の掘り起こし
が容易となります。

埋設しました土砂等は、国が定めます最終処分場が決定しだい掘り起こし移動しま
すが、それまでの間は、看板等により埋設場所の表示をするとともに、埋めた麻袋
の数、場所を支所等に連絡してください。

生活路・通学路 編

除染順序

除染順序は、住宅の除染と同様に、除染前後に放射線量の測定をするとともに、側溝
の上流から下流へ洗浄することになります。
除染作業は、長袖・長ズボン等の肌を露出しない服装、マスク、ゴム手袋等を着用し、
作業後のうがい、入浴、衣服の洗濯などに着意していただければ、市民の皆様でも安全
に作業ができますが、集水枡等は放射線量が高い場合があります。ご心配な場合は、委
託業者や経験者の方が土砂上げを行うようにしてください。
以下は、福島市で実施しました除染の検証に基づく生活路等の除染順序の一例です。
① 除染前モニタリング
② ほこり飛散防止のための散水
③ 側溝脇、路肩及び歩道の草むしり、草刈、街路樹の剪定等
④ 側溝内、集水枡の土砂上げ
⑤ 側溝、歩道等の洗浄
⑥ 土砂等の一時保管
⑦ 除染後モニタリング 5
具体的除染要領

①⑦除染前・後モニタリング
生活路等の除染前に放射線量の測定を行い、線量の高い地点を把握し、除染の重点を
確認しますとともに、除染後の測定によりその成果を確認します。

集水枡等の放射線量が高いと思われる地点は、1㎝の高さで測定してください。
除染前のモニタリングでの放射線測定値が高く、ご心配な場合は、福島市災害対策
本部(525-3793)にご連絡ください。

② ほこり飛散防止のための散水
放射性物質を含んだほこり、ちり等の飛散防止のため作業前に散水を行います。

散水は、ほこりの飛散防止であり、作業の直前に行い、まきすぎに注意してくださ
い。

③ 側溝脇、路肩及び歩道の草むしり、草刈、街路樹の剪定等
側溝脇、路肩、歩道の草むしり、草刈、街路樹の剪定、落ち葉の収集等を行います。
このとき、草の根についた土、腐葉土等は、麻袋に詰めます。

草は、ゴミ袋に入れ可燃ごみとして処置します。

④ 側溝内、集水枡の土砂上げ
グレーチングを上げ、側溝内の土砂を麻袋に詰めます。
麻袋の口を紐でしっかり縛り、1~2日側溝脇に麻袋を置き、土砂の水分を切り
ます。

コンクリート蓋は放射線を遮断することから、大量の土砂があり側溝内の水が流
れない場合等を除き、蓋を上げる必要はありません。
また、土砂を入れた麻袋から埃が舞うことを防止するため、ゴミ袋を上から被せ
ます。麻袋は、後日委託した業者が回収することになります。

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⑤ 側溝、歩道等の洗浄
高圧洗浄機とデッキブラシ等で歩道、側溝等を洗浄します。

高圧洗浄機により洗い流す水は大量に流れでることはありませんが、実施する際は、
側溝の下流域の地区の住民にお知らせして下さい。

⑥ 土砂等の一時保管
除染作業により発生した土砂等を、市が当該町内会等の中に指定した仮置き場に
運搬し、最終保管場所が決定するまでの間、一時保管します。
① ②

④ ③

*市が管理する仮置き場の管理要領
町内会等のすべての除染が完了するまでの間は、汚染された土砂を麻袋に入
れ、ビニール袋で覆い、遮水シートの上に積みあげ(①図)、雨による泥水の流
出を防止するためシートで覆い(②図) 、さらに、放射線を遮蔽するため汚染
されていない土砂を入れた大型土のうで周囲を覆います。 (③図)
その後、すべての土砂等が集積された時点で土中に埋設します。 (④図)

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